現在取り組んでいる訴訟
預け金損害賠償請求事件
2月24日午後1時20分〜富山地裁 第1回口頭弁論
富山県がほとんどの出先機関等で行っていた取引業者に対する違法な預け金について、正規の手続きを経ずに取り崩して使用した職員に対して損害賠償請求を求めた住民訴訟。
入善談合住民訴訟事件
3月24日午前10時〜富山地裁 第9回口頭弁論
刑事記録の送付嘱託が採用されたため、次回は、住民監査請求期間問題非該当部分について採用された刑事記録をもとに、原告側が損害額の内容について、主張・立証を行う予定。
桐朋学園富山キャンパス用地問題住民訴訟事件
5月12日午前10時〜富山地裁 第2回口頭弁論
富山市が桐朋学園富山キャンパスに隣接する東洋紡工場跡地を、芸術舞台パークの駐車場、緑地として時価の二倍の36億円で富山市土地開発公社から購入することが税金の無駄遣いだとして、富山市長に対して差額の18億円の損害賠償を求める住民訴訟。
監査委員会事務局出勤簿情報公開訴訟
現在上告中。
昨年12月16日控訴審判決。名古屋高裁金沢支部は、原審の判断を支持・補強し、出勤簿のうち出勤、出張、職、氏名等を開示しなかったことは違法として開示を命ずる判断を示した。その理由として「公務員の公務に関する情報は、県民の県政に対する監視を実効あらしめ、ひいては県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加の開かれた県政を推進する上で、開示すべき必要の高い情報である」との判断を示した。これに対して不当にも監査委員は最高裁に上告したが、最高裁による明確な判断が行われることが情報公開に対する国民の権利を明確にする上で意義あることと期待される。
魚津農地林務事務所・立山土木事務所食糧費損害賠償請求訴訟
現在控訴中。
98年12月16日富山地裁は、請求却下の不当判決を下した。
これに対して12月25日オンブズ富山は控訴した。
争点は支出後一年以上経過して行われた住民監査請求に「正当な理由」が認められるか。県側は、正規の手続きで支出されたので、隠れて行われた訳ではないから支出から一年以上経過した監査請求は不適法として却下を求めた。 住民側は、第一次の情報開示があるまでは官官接待の事実すらわからず、情報開示によって官官接待があったことを知ることはできたが、出席者の詳細や懇親会の場所もわからない状況。異議申立後の追加の情報公開によってはじめて出席者や会場の一部が判明し、中には官官接待とも言えない全くの部内の懇親会費用に支出されていた事実が判明したもので、追加開示によってはじめて住民監査請求を決意したのが実態ゆえ追加開示後三か月内の監査請求には正当理由ありと主張。判決は、第一次の情報開示で官官接待の事実がわかりその時点から十分資料収集すれば違法不当性はわかったはずとして却下。しかし、判例の現在の状況からは官官接待即違法とまでは言えないので出席者や懇親場所を知るため異議申立を行ってその結果を待ったのは当然だし、異議申立以外の調査方法も考えつかず、この判決は住民訴訟の間口を不当に高くするものとして控訴した。
魚津農地林務事務所・立山土木事務所食糧費等情報公開訴訟
4月28日午後1時〜富山地裁 第7回口頭弁論。 上記事務所の職員の出勤簿と食糧費の支出に関する書類の債権者情報(宴会場所)、会合の出席者情報(接待の相手方)の一部が隠されていたので、その非開示処分の取り消しを求めたもの。
<コメント>
情報公開訴訟判決に対して富山県が控訴したことについて
1998.2.26
市民オンブズ富山 運営委員 青島明生
標記につきお問い合わせが相次いでいますので簡単なコメントを表明します。
以 上
<預け金裁判訴状>
訴 状
原 告 別紙「原告目録」の通り。
右訴訟代理人弁護士 青 島 明 生
被 告 別紙「被告目録」のとおり。
損害賠償代位請求等住民訴訟事件
訴訟物の価格 金九五万円 貼用印紙額 金八二〇〇円
請 求 の 趣 旨 一 被告A、同N及び同Gは、連帯して、富山県に対し、金二五四万八八三九円及びこれに対する一九九八年三月三一日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告N、同A及び同Tは、連帯して、富山県に対し、金四二万八二〇一円及びこれに対する一九九七年三月三一日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告N、同F及び同Yは、連帯して、富山県に対し、金二万七四三三円及びこれに対する一九九八年三月三一日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。
四 被告M、同F及び同Yは、連帯して、富山県に対し、金三八万一一〇九円及びこれに対する一九九八年七月三一日から支払い済まで年五分の割合による金員を支払え。
五 訴訟費用は被告らの負担とする。 との判決及び右第一項乃至第四項について仮執行の宣言を求める。
請 求 の 原 因
一 本訴の内容
富山県職員は、各部局・出先機関において長年にわたって取引業者との間で、物品等の購入や役務等の利用取引において、真実は購入または利用していないにも係わらず、内容虚偽の納品書や請求書を業者に提出させ、あるいは作成して、本来支払う必要のない金員を商品代金もしくは飲食物又は役務の対価として支払い又は振込送金し、取引業者にプールする違法な預け金(=裏金)を広汎に行っていた。
本件は、この県庁全体で行われていた違法な預け金のうち、行政に対する監視活動に取り組む市民オンブズ富山に寄せられた内部告発により判明したある文房具業者との間に対して行われていた預け金のうち、富山県職員が適正な手続きを経ずに物品を購入した債権の取り崩し行為を、違法な債権消滅行為により富山県に損害を与えるものとして、これを行った富山県職員に対して、損害賠償を求めるものである。
二 当事者
原告等は、行政の不当、不正な行為を監視し、これを是正することを目的とする市民オンブズ活動や研究などを行う市民のボランティア団体である市民オンブズ富山の会員であり、被告らは、左記のとおり富山土木事務所及び富山農地林務事務所の財務会計を担当していた富山県職員である。
記 (富山土木事務所関係)
氏 名 職 名 在 職 時 期
A 所長 一九九六、一九九七年度
N 総務課長・出納員 右同
G 総務班長 右同
(富山農地林務事務所関係)
氏 名 職 名 在 職 時 期
A 総務課長・出納員 一九九六年度
T 総務班長 一九九六年度
F 総務課長・出納員 一九九七、一九九八年度
Y 総務班長 右同
M 所長 一九九八年度
三 預け金の存在と富山県の預け金返還請求権の法的性質
被告等は、取引関係のある訴外株式会社Aに対して、一九九七年二月一日時点で、富山土木事務所関係で二五五万二七七一円、富山農地林務事務所関係で八三万六七四三円の預け金(=裏金)を管理していた。
自治体の財務会計行為の原則及び法令等により規律からすれば、現実に債務負担行為として取引行為を行い、納品等を検収・確認して初めて支出行為である支払又は振込行為が行われるべきであり、本来取引先においてマイナスの残高である預け金が生じることはあり得ない。従って、預け金は違法な財務会計行為の結果であり、これが違法であることは取引業者においても認識していることから、取引業者においては法律的にこれを保有する根拠はなく、預け金があれば不当利得として県に返還されるべきものであり、逆に富山県としては取引業者に対して不当利得返還請求権を有するものである。
本件においては、富山県は訴外会社に対して、右預け金相当額の不当利得返還請求権を有していた。
四 被告等の不法行為
しかるに、被告等は、物品購入の際に要求される手続きである支出負担行為決議も、支出決議も経ずして、別紙物品購入一覧表の年月日欄記載の日に、品名、数量及び売上金の各額欄記載のとおり物品を購入し、その代価として、預け金を宛てることにより(法的には相殺することにより)、富山県の有する財産権たる右不当利得返還請求権を違法に消滅させ、富山県に請求の趣旨記載の金額の損害を蒙らせた。
なお、年度末等の時点における預け金の残高及び各年度における費消額は次のとおりである。
時 点 残 高 額 費 消 額
(富山土木事務所関係)
一九九七年三月三一日 金一八四万一三一〇円 金七一万一四六一円
一九九八年三月三一日 金三九三二円 金一八三万七三七八円
(富山農地林務事務所関係)
一九九七年三月三一日 金四〇万八五四二円 金四二万八二〇一円
一九九八年三月三一日 金三八万一一〇九円 金二万七四三三円
一九九八年七月三一日 金○円 金三八万一一〇九円
五 仮に公用の物品購入であっても違法であること
なお、これら購入された物品は備品台帳に記載されていないのでその存否及び富山県の用に供せられたか否かは不明であるが、仮にこれが真実富山県の用に供されていたとしても(言い換えれば公務遂行上の経費として使用されたとしても)、地方公共団体の経費はその目的を達成するために必要最小限度を超えて支出してはならないが(地方財政法四条一項)、本件のごとく適法に予算化されている以上の費用を、予算化されていない裏金を使用して支出したものは違法である。なぜなら、正規に予算化されていないということは予算執行の必要最小限度性のチェックを受けていないのであるから必要最小限度内であったと認める根拠に欠けているし、必要最小限の経費は予算化されているはずであるから、それを超える部分については必要最小限と認められないからである。
六 監査請求の経由
原告らは、九八年一二月二二日富山県監査委員に対して、富山県知事に、本件違法な債権の処分行為を行った支出担当職員に対して損害賠償を請求すること並びに訴外会社に対して当時同社が保有していた魚津農地林務事務所分の預け金三〇万〇六七四円及び県税事務所分の預け金金二万二八〇四円の返還請求を行うことについての勧告を求めて監査請求を行なったが、同監査委員は、九九年一月二一日付けで右監査請求を棄却した。
なお、訴外会社が保有していた右預け金は本年二月に富山県に返納されたとのことである。
七 結論
よって、原告らは、被告らに対し、請求の趣旨のとおり、被告らの前記四の行為によって富山県に与えた損害のうち在職期間に対応する金員とこれに対する各不法行為終了後の日から支払い済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を富山県に支払うことを求めて本訟を提起する。
八 関連証拠保全事件
御庁平成一〇年(モ)第七一四号
証 拠 方 法
被告等の認否により、口頭弁論において、必要に応じ提出する。
付 属 書 類
一 訴状副本 一〇通
二 訴訟委任状 六通
一九九九年二月一七日
右訴訟代理人弁護士 青 島 明 生
富山地方裁判所 御中
以 上